武庫川ダム(兵庫県西宮・宝塚市)建設の可否が焦点となっている武庫川(兵庫県)水系の河川整備計画原案が26日、兵庫県から専門家などでつくる武庫川流域委員会に提示された。ダム建設は原案に盛り込まれず、今後計画が国の同意を得て策定されれば、同ダムは国の工事実施基本計画から消えることになり、事実上の“断念”となる。
武庫川ダムは県が計画している治水ダム。昭和60年に国の建設認可を受け、平成5年に事業着手した。貯水容量は約1千万立方メートルで、建設事業費約300億円のうち半分を国が補助する予定だったが、民主党政権にかわり、前原誠司国交相が昨年、ダムに頼らない新しい治水基準での検証対象の一つとして挙げたため、建設の可否に注目が集まっていた。
原案では、昨年3月に策定した基本方針で武庫川水系の目標流量を4690トンと定めたのに基づき、今後20年間で戦後最大の洪水と同規模の洪水に耐えうる流量(3510トン)を確保すると目標を設定。昨年8月の佐用町豪雨などを受けて治水対策を喫緊の課題としながらも、新規ダムを建設する場合は地元との合意形成のほか、建設開始から完成まで十数年かかることから、今回の計画では河床掘削や堤防強化などの別の対策を選択し、新ダムについては必要性や実現可能性の検討を続けるとした。
ただ、今回の計画と基本方針の目標流量には180トンの差があるため、県では「目標達成にはダムも含めたより良い整備方法を検討し、必要に応じて計画の修正も行う」としている。
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